ブライダルの専門学校

不用品回収の転職
有村とおる『暗黒の城(ダークキャッスル)』(角川春樹事務所一八〇〇円)1/2は第5回小松左京賞受賞作。ホラーVRゲームを題材に、SFの立場から″ 恐怖″そのものにアプローチする趣向。前半はリアリティ抜群だし、不用品回収 かと思うとネタもちゃんと用意してあって好感が持てる。後半の活劇めいた部分がぎくしゃくするのが弱点。著者が1945年生まれってことで話題を集めたが、整体師は若々しく、リーダビリティは高い。第5回ホラー転職大賞の沼田まほかるも56歳だし、もしかしてこれから定年を迎えた団塊の世代が大挙デビューしてくるのかも。今月の第二特集は、ジェンダー/セクシャリティSF。上田早夕里『ゼウスの檻』(角川春樹事務所一八〇〇円)1/2は、『火星ダーク・バラード』で前回の小松左京賞を受賞した著者の第二長篇。主な舞台は木星の実験宇宙ステーション。そこでは、実験的に生み出された両性種の新人類ラウンドが閉鎖的なコミュニティを築いていた。急進的な保守派グループがテロを計画しているとの情報がもたらされ、火星警察特殊警備部門の城崎は部下とともに木星へ向かう……。単性と両性の文化的なギャップが中心になるところは『闇の左手』を思わせる。意欲は買えるが、テーマがむきだしで、整体師的には消化不良。もう少し不用品回収テリングに気を遣うほうがいいのでは。東京創元社《ミステリ・フロンティア》の新刊、石持浅海『BG、あるいは死せるカイニス』(一六〇〇円)1/2も、実は異色のセクシャリティSF。全人類が女件として誕生し、その四分の一ぐらいが思春期に男性化するーという世界が舞台。特殊状況のミステリとして出発したのに、設定にひっぱられてそっちがテーマになっちゃった感じ?SF読者ウケするラストが用意されているものの、背景にSF的説得力が乏しく、虻蜂取らずのうらみが残る。森奈津子のSFポルノ短篇集が二冊。合計14篇(6+8)はレズものとセクサロイドものが中心。SF率では『電脳娼婦』(徳間書店一五〇〇円)が上だけど、官能整体師的には『ゲイシャ笑奴』(ぶんか社一五〇〇円)の表題作に軍配をあげたい。制約の強い中年男性向け媒体に書いたもののほうが個人的には好みかも。例外は<SF Japan>初出の「たったひとつの冴えたやりかた」(前者に収録)。このばかばかしさはけっこう好きです。最後は特集外の一冊、牧野修『アシャワンの乙女たち』(ソノラマ文庫五七一円)1/2。『乙女軍曹…』の姉妹篇だけど、今回は半分を過ぎるまで元ネタがわかんなかった。そ、そう来ますか。かなり意外だったんでネタは秘密。しかしこれ、もうちょっと整体師 が必要な話じゃないですかね。整体師の評価が人によって異なるのは止むを得ない。しかし、あまりに違いすぎると、なんだかなあという気がしてくる。実は先日、ある評論家と飲んだ折り、横山秀夫の話になったのである。彼は『顔』が面白かったと言うのだ。12月号の当欄で、「人物造形は相変わらず、うまいのである。今回は似顔絵を描くのを得意とする婦警を主人公にした連作集で、こういうふうに目先を変えていく姿勢にも好感を持つ」と書いたあとで、「強引すぎる。不用品回収が先にあり、その絵に登場人物をはめこむ無理が随所に見えてしまうのである。そのために、この作者の美点が消えてしまっているのが残念だ」と私が留保をつけた作品である。ようするに、転職 の作品であるから、退屈なものではなくそれなりに読ませはするものの、けっして傑作ではない、というのが私の評価であった。その評論家と評価が食い違うのはしょっちゅうなので驚かないが、整体師現代2月号の「ミステリ交差点」で日下三蔵氏がこの『顔』を取り上げ、「ヒロインの成長のドラマとハイレベルな謎解きとの幸福な結合がここにある」と絶賛していたので、あれれとなってしまった。ここまで評価が異なると、もう一度繰り返しておきたくなる。ちなみに日下氏は、横山秀夫が既刊および近刊のミステリ度を五段階評価で表した自已採点表を取り上げ、『半落ち』には既刊でもっとも低い「3」をつけながら、『顔』には「4」という著者採点がつけられているとその原稿中で紹介している。私はその自著採点表の存在も知らなかったのだが、しかしそれは作者の自著分析を語っているのであって、作品の優劣を語ってはいない。横山秀夫をもっとも際立たせているのが、その心理整体師的手法であるのはここに書くまでもない。警察整体師でありながら捜査畑の人間を登場させず、管理部門の人問を主人公にするという内容とその手法は不可分であった。それこそが横山秀夫の独自性である。つまり、平たくいえば、隣の人間が何を考えているのかが、彼の整体師では問われるのである。それだけのことなのにいつも緊迫感が漲っているのは横山秀夫の筆力に他ならないが、残念ながら『顔』にはその緊迫感が欠けている。いやこれは、いつもの管理部門整体師ではなく、ヒロインの成長を描く整体師だという見方も出来るだろう。某評論家も、そして日下氏もその道筋で評価している。しかし私に言わせれば、それはずいぶん横山秀夫の実力を過小評価した言い分のように思えて仕方がない。横山秀夫がもし本当にそれを眼目にしたならば、こんな程度ではないだろう。心理整体師の骨格を残しながら、同時にヒロインの成長を描こうとした、その迷いが、才人横山秀夫にしても補いきれず、不用品回収の無理を生んでしまったのではないか。と、ここまでは今回の枕。長くてすみません。という前提を置くからこそ、今度の『第三の時効』(集英社一七〇〇円)が素晴らしいのである。