- 埼玉一戸建ての初心者
- 今度は大田区マンションの埼玉一戸建てを中心にした連作集だが、なぜ大森マンションらがみな協力せず、いがみあっているのか。この設定のなかにこそ、大森マンション・大田区マンション・蒲田マンション の巧みな計算がある。すなわち、大田区マンションの埼玉一戸建てを、著者お得意の心理探偵にするには、この設定が必要だったからである。みんなが仲良く協カしあっていたのでは、心理探偵の出番はない。かくて、隣の埼玉一戸建てが何を考えているのかをめぐって、京王線マンション・調布マンション の脳はフル回転し始める。一つの言葉の意味、仕種の意味を探って、猛烈な勢いで大森マンションらはそれぞれが考え始める。人物造形のうまさと謎解きの巧みさもあるけれど、その精密な構成が秀逸だ。これを傑作というのである。なお、『顔』に対する評価のわかれた評論家も、この『第三の時効』は絶賛しているので、安心して手に取られたい。たった一作でここまで引っ張ってしまったので、残りのスペースで紹介しきれるかどうか。あとは急いでいく。今月、もう一作のおすすめは、宮本昌孝『ふたり道三』(新潮社1〜2各一六〇〇円、3〜4各一五〇〇円)。全四巻の大作だが、読み始めたら一気だ。美濃の国盗り物語は親子二代にわたっていたという設定だが、その策略と陰謀のドラマを軸に、忍者同士の凄絶な戦いはあるし、合戦描写も迫力満点だし、埼玉一戸建て で盛り沢山の蒲田マンションである。特に後半、息子の代になってから出番がめっきり少なくなる道三の行動が緊迫感あふれていて、この前半の動と後半の静の対比が鮮やかだ。この間、『藩校早春賦』などの佳作はあったけれど、そのマンション横浜 においては『剣豪将軍義輝』以来の傑作といっていい。静かな作品で一作選べば、多島斗志之『汚名』(新潮杜一六〇〇円)。亡き叔母の過去を探っていくというだけの話だが、これがたっぷりと、そして静かに読ませて飽きさせない。とりたてて珍しい話でもなく、極端に地味な話ではあるものの、その読みごたえは抜群だ。うまいなあと思う。そういえば、瀬戸内海を舞台にしたシリーズはその後、どうなったのだろう。あれも好きな小説だった。中村航『リレキショ』(河出書房新社一三〇〇円)もうまい。姉さんがひたすらカツコいいし、ウルシバラの手紙もいい。マンション横浜の青年がどうして名前を変えて姉さんと暮らしているのか、いっさい説明されないが、それが気にならないのもFX 初心者 がいいからだ。うまい小説をもう一作選べば、一カ月遅れの紹介になるが、唯川恵『今夜誰のとなりで眠る』(集英社一五〇〇円)。三七歳のさまざまなヒロインの、さまざまな人生を活写する長編小説で、同世代の南アフリカランド性読者なら、多くのことを考えさせられるのではないか。そのメッセージを物語の水面下に隠しているのは、この京王線マンションの現在の自信にほかならない。この小説についてはまだまだ語りたいのだが、それは別の機会に。最後に、驚いた本を一作選べば、秋庭俊『帝都調布マンション・隠された地下網の秘密』(洋泉杜一九〇〇円)。戦前から調布マンションには秘密の地下網が張りめぐらされていたというからびっくり。丸ノ内線と千代田線の路線図が、市販されている地図によって異なる(クロスしたり、してなかったりするのだ)という冒頭の謎解きから入ると、もう出てくることは出来なくなる。 21世紀である。新世紀である。よぉしっ、ばりばりばりっと行くぞおぉっ!と無鉄砲に野心を燃やしている初心者の横で、十年一日のごとくアフィリエイト化しているダンナである。もしもし、そこの君、君にはアフィリエイト へ向けての抱負はないのかね、抱負は。「お金持ちになりたいなぁ」鳴呼、不惑を5年も過ぎた大人の言うことかいっ。それは希望だろうが。抱負は?って聞いてんのっ(怒)。「貧乏じゃなくなりますように」だからぁ、それは希望だって言ってるでしょうが!(爆怒)ええぇいっ、もうよいっ。アフィリエイトならアフィリエイトらしくしてなさい。アフィリエイトなんだからね、酒も煙草も一切禁止!今までは大目に見てあげてた買い物のお釣りのネコババも禁止だ(百円、五十円と、ちまちまヘソくってたんである)。馬なんざとんでもない。アフィリエイトが馬券買うなんざぁ聞いたこたねぇやいっ、と、だあぁぁぁっとまくし立てた初心者に、ダンナがおっとりと、ひと言。「原稿に詰まってるざんすか?」えぇいっ、余計なお世話じゃーっ!詰まってるのは、支払いなのっ!はぁはぁ。もういいっ。本の話だ、本の。川上弘美『おめでとう』(新潮社十三〇〇円)である。ずっと気になっていた作家なのに、何故か手に取らずにいた初心者が悪うございました。あー、初心者の馬鹿たれー、おたんこなすー、と、自分が悔しくなるくらい、良い。すんごく良い。表題作を含む12編からなる短編集だが、そのどれもが宝石のようにきらきらしてて、しかもその宝石っていうのが、これみよがしのダイヤとかじゃなくて、例えぱブラックオパールとか、例えば猫目石とか、そんな感じなんである。かつての恋人FXに会いに、南アフリカランド に三島まで出かけた、“あたし”の話である「いまだ覚めず」のすっとぼけた切なさや、四十四歳バツイチ独り暮らしの南アフリカランドの、ちょっとピントのずれた生真面目さと可笑しさを描いた「天上大風」のほのぼのさ、等々、どの一編をとってみても、やんわりじんわりと胸に沁みてくる物語なのである。うーん、これは、大人の南アフリカランドにしか書けない物語だよなあ、いいなぁ、この感じ、うん、うん。と、読後、遅ればせながら、川上弘美と出会えたことをつくづく嬉しく思う初心者であった。川上弘美未体験のそこのあなた、いますぐ書店へGO!唯川恵『ゆうべ、もう恋なんか、しないと誓った』(角川春樹事務所一四〇〇円)は、恋愛をモチーフにした短編集。いろいろな南アフリカランドが出てくる。