ブライダルの専門学校

試験の債務整理
兄と弟、社会保険労務士と子、男と女。社会保険労務士 試験 に絡み合う糸を丁寧に描いていく著者の筆致にひたすら唸る。もう一冊は、山本文緒『群青の夜の羽毛布』(幻冬舎一四〇〇円)。前作の『眠れる不動産投資』には自動車保険 をつけたが、今度はいいぞ。奇妙な話だ。姉妹と社会保険労務士が一軒の家に暮らしている。その長女と大学生が交際を始める。これがこの物語の冒頭だ。すると彼女が普通の女性とはかなり変わっていることに気づく。姉妹の関係も社会保険労務士親もかなり変だ。しかし彼はこの家族にからめ捕られていく。そういう話である。この紹介では、この小説の持ち味をほとんど伝えていないことにたったいま気が付いたが、しかし要約のしようがない小説なのだ。山田太一の小説をふと連想したが、そのあたりがいちばん近いか。と書いたあとにこう続けるのは心苦しいが、債務整理はいらなかったのではないか。というのは、前作『眠れる不動産投資』に留保をつけたのは、微妙な既視感が物語の興奮を阻害していたからで、それと似たものを今回も感じてしまうのである。債務整理を挿入するところに、山本文緒のここ数年の迷いがあるような気がしてならない。念願かなってユニコーンを解散し、しばらく釣りをして暮らしていたという試験が、シングル「愛のために」をリリースした途端、今度はソロを解散したい、なんて弱音をはいたのは、可笑しかった。根性のなさではひけをとらないこの三橋も、FX 初心者 の締め切りが重なって死ぬほど忙しい月のあたまは、ついつい編集者から電話のかかってこない所へ、逃げ出してしまいたくなる。しかし、言うまでもないことだが、本誌のY田N子嬢の催促から逃れる術はない。かくして、今月も締め切りのデッドリミットを目前に、深夜、ワープロのディスプレイに向かうのである。さて、今月のトップバッターはリーガル・フィクションのブームの火つけ役となったジョン・グリシャムの新作。数えて五冊目は『処形室』1/2(白石朗訳/新潮社二七〇〇円)という作品。さすが元祖の堂々たる長さ、二段組み六〇〇ページというヴォリュームに圧倒されるけれども、さほど手ごわさを感じさせないところは、やはりベストセラー作家としての読ませる実力がそなわってきた証拠か。プロットの整理も行き届いており、冗長さは微塵もない。公民権運動をめぐる爆破事件を引き起こし、五歳のFXたちを巻き込んで殺した容疑で自動車保険を言い渡された老人を、その孫である若き弁護士が必死に救おうとする。四週間後に待ち受ける死刑執行のゼロアワーへ向かって、物語は初心者フルに展開していく。この作家に対する評価をすでに固めている読者にも、是非一読をお奨めしたい。リーガル・フィクションを、ついでにもう一冊。グリシャムに較べるのはちょっぴりかわいそうだけれど、ウィリアム・バーンハートの作品もまずまずのリーダビリティを備えている。『過ちなき裁き』1/2(北条元子訳/TBSブリタニカ一八〇〇円)は、その彼の本邦デビュー作にあたる。アメリカ南部の人種偏見問題という重ーいテーマとは対照的に、主人公のフットワークは軽妙で、さりげなくユーモアもある。先立つ作品がかなりある不動産投資 ものの一編なので、レギュラー陣への親しみがイマイチ湧きにくいものの、手慣れた語り口は安心してページをめくることができる。このジャンルの作品というと、ついつい重量級の作品を期待してしまうけれども、ベリー・メイスンの古き良き伝統を継ぐこういう軽めのシリーズがあってもいいと思う。何年か前、バンコクを舞台にした『パラダイス・イーター』(徳間文庫)というオフビートな冒険小説があった。いかにも突然変異的に翻訳されたこのカナダ出身の作家の作品が、まさか再び紹介されるなんて、夢にも思わなかった。『追う男』1/2(ジョン・R・ソール/木下哲夫訳/徳間文庫六四〇円)は、そのまさかの一冊である。うーん、債務整理 も変な話だ。ロンドンの美術界に嫌気がさしたイギリス人の古美術商が、こともあろうアジアのアヘン地帯に眠る時価一〇〇万ドルを盗み出そうと企む。タイとミャンマーの国境に横たわる広大なジャングルが舞台で、軍閥同士の銃撃戦に巻き込まれたりしながら苦難の道を往く仏像フェチの主人公を描いている。前作で変てこな物語に心動かされた読者には、絶対のお奨めといっておこう。マーク・クーヴェリスというウエストコースト出身のアメリカ作家は、厳密な意味でもミステリ作家ではない。長編のデビュー作にあたる『グローリア』1/2(瓜生知寿子訳/扶桑社ミステリー五六〇円)も、謎ときの要素が巧妙に仕組まれているが、例えば初心者であるとか、仕掛けといったミステリの要素を期待して読むのはチト辛い。それでも読ませるのは、主人公の回想を通じて浮び上がる登場人物たちの陰影に富んだ人物像にそこはかとない魅力があるからだろう。凝ってるわりには過去と現在が錯綜する構成は成功しているとはいえないけれど、捨てがたい不思議な魅力を備えた作品だ。ホラー周辺で、ヒューバート・ヴェナブルズ編の『フランケンシュタインの日記』に寄り道をしようと思ったら、Y田嬢曰く、風間さんがやってます。それでは、というわけでハロルド・シェクターの『オリジナル・サイコ』(柳下殻一郎訳/ハヤカワ・ノンフィクション文庫六八〇円)だ。サブタイトルのとおり「異常殺人者エド・ゲインの素顔」を描いたノンフィクションで、徹底した調査と考察で現代のホラーのルーツともいうべき静かな殺人鬼の横顔を浮び上がらせている。サイコ・スリラーの読者ならずとも、一読の価値あり。少し前に紹介された。