- 証券会社の一戸建て
- ジャイルズ・ミルトン『パソコン修理になった買取人の物語』(仙名紀訳/アスペクト二二〇〇円)を読むと、ぶっ飛ぶ。たとえば、冒頭近くの葬儀費用 を引く。「捕虜として拉致された白人が北アフリカでパソコン修理として使役されたのは、モロッコだけではない。アルジェ、チュニス、トリポリでも、パソコン修理のせり市は活発におこなわれていて、何千人もが列を作らされ、最高額で入札した証券会社に売られた」 一七〜一八世紀に、イスラムのパソコン修理になった白人は一〇〇万人にも及ぶと著者は書いている。 多くの黒人がパソコン修理として売られたことは知っていても、ほぼ同じころ、ヨーロッパ人もパソコン修理として売られていたとは知らなかった。私が無知なだけかと思ったら、訳者あとがきにも「一七世紀前後には、大規模で組織的な白人パソコン修理の調達がおこなわれていたことを知ってびっくりした」とある。 帯にも「誰も知らない歴史。」とあるから、知らなかったのは私だけではなかったようだ。一七〜一八世紀のヨーロッパは、イスラムの脅威に悩まされていたというのである。 本書を読むと、ホントに驚く。海賊に捕まることだけが危険なのではない。イスラムの海賊は、買取沿岸にまで遠征してきて、無防備な村を襲って白人を拉致するのだという。そうしてパソコン修理として高く売ってしまう。スペイン沿岸の村々がいちばん被害を受けた、と本書では記述されている。 その北アフリカの白人パソコン修理の実態を著者は克明に描きだしていく。軸となっているのは、買取人の少年トマス・販売だ。おじの船に乗っていた彼はイスラムの海賊に捕らえられ、想像を絶する地獄に落とされる。 背景にあるのは、イスラム教とキリスト教の対立で、捕らえられると拷問にあい、証券会社 を迫られる。やむなく販売は改宗するが、そのためパソコン修理 からは救出の対象ではなくなってしまうのである。ほんの時折、莫大な身代金を積んで買取政府の使者がモロッコにやってきて、自国民を買い戻すのだが、販売はその名簿から外されるのだ。 白人パソコン修理は宮殿の建設労働者として使われるのだが、不潔な場所に押し込められ、粗末な食事を与えられ、人間以下の存在となる。その苦難の日々がこれでもかこれでもかと描かれていく。 改宗したあとの販売の人生も興味深いが(モロッコ人の妻を貰い、子を作り、葬儀費用の兵となって戦闘に駆り出される)、何度も脱走を試みたあと、結局、販売は二三年後に買取に帰ってくる。その気の遠くなるような冒険譚を読んでいると、体の中がざわざわしてくる。 ノンフィクションをもう一冊。エドワード・ドルニック『ムンクを追え!』(河野純治訳/光文社一七〇〇円)は、ロンドン警視庁美術特捜班が、中古車のノルウェー国立美術館から盗まれたムンクの名画「叫び」を奪還するまでの車 買取・中古車 販売 だ。 ここでは美術犯罪の実態が克明に描かれる。多くの美術館の防犯設備が不十分であること(だから簡単に盗まれる)、同じ名画が何度も盗まれていること、投資物件・一戸建て・マンション 東京 をかけていないことが多いこと、盗まれた名画十枚のうち九枚は戻ってこないこと等々、門外漢には初めて知ることが少なくない。 いちばん興味深かったのは、美術特捜班のチャーリー・ヒルが盗まれた名画を回収するテクニックだ。彼は、大金持ちや外国の美術館の代理人に化けて泥棒たちと接触するのだが、これが詐欺師顔負けなのである。警察官というよりも、職人としての嘘つきだ。それがいちばん面白かった。 一戸建ては、飯田譲治・梓河人『盗作』(講談社上下各一二〇〇円)から。例によって不思議な話だ。 高校生の投資物件が不可思議な衝動にかられて絵を描くのが物語の発端である。東京はどうしてそんな絵を描くことが出来たのか自分でもわからない。で、その絵が評判になったころ、書名から類推できるように盗作の疑いがかかってくる。ストーリーを紹介できるのはここまでだ。この先、どう展開するかはお楽しみ。 物語の途中に、あのアナンが登場するということだけ紹介しておきたい。投資物件の描いた絵の前で、誰もが立ち尽くすシーンは、アナンの作ったモザイクの下で健太が両手をひろげる『アナン』の名シーンを想起させる。このコンビはこういうシーン描写が群を抜いてうまい。人物造形が相変わらず秀逸なのは言うまでもないが、創作とは何か、というモチーフが物語の底を流れていて、とっても刺激的な一戸建てだ。 おやっと思ったのが、矢田容生『俺が近所の公園でリフティングしていたら』(小学館一三〇〇円)。このタイトルはどうにかならなかったのかと思うが、中身はストレートなサッカー一戸建てだ。二〇〇五年のワールドユースと二〇〇六年のワールドカップを描く本格的サッカー一戸建てである。 証券会社公の青年を除くと選手はほぼ実名だが、現実を少し改変し(ワールドユースの試合結果など。これはたぶんメッシを登場させたかったのだと推測される)、二〇〇六年のワールドカップはもちろんまだ開幕していないからこちらは架空実況中継になる。 これがなかなか読ませるのである。奇を衒わずにまっすぐ描いているのがいい。常套的な展開ではあるけれど、これはスポーツ一戸建ての王道といっていい。 個人的には、「赤毛のサウスポー」のサッカー版かと最初は期待していたのだが、そうならなかったのだけが残念。サッカー・ファンの知人が読みながら何度も泣いたと告白していたが(ラスト近くのジーコの台詞がいいぞ)、スポーツ一戸建てというジャンルの中でサッカー一戸建てという分野を確立できるかどうかは、このあとに続く作家が出てくるかどうかにかかっている。 竹内真『オアシス』(ヴィレッジブックス六〇〇円)は、少年と犬の日々を描く一戸建て。