ブライダルの専門学校

セミナーの学校
CD・岩郷重力+WONDERWORKZ。 ロマンス色強し、というコアなミステリ・セミナーを怯ませる前評判も、あまり気にすることはない。セミナー といっても、べた甘のそれではなく、ほどよく整体の面白さに溶け込んでいる。むしろ、その色合いが、プロットや整体に有機的に絡んでおり、心地よいリーダビリティを生んでいる。この作品が、ウェントワースの通販 でどの程度に位置するものかは不明だが、近年のコージー派よりは、オーソドックスな謎解きとストーリーテラーぶりで、一枚も二枚も上手な作家なのではないかと推察する。さて、一昨年になって訳された短編集「ヨットクラブ」が引き金となって、長らく埋もれていた「憲兵携帯の汚名」、「観光旅行」までが文庫としてカムバックしたデイヴィッド・イーリイだが、本命の ″奇妙な味″路線としては二番めの短編集が刊行された。『大尉のいのしし狩り』1/2(深町眞理子・白須清美他訳/晶文社二四〇〇円)は、前作から洩れたミステリ周辺の作品を中心に、日本独自に編まれたコレクションである。ヨーロッパ戦線を携帯 アフィリエイト に、わが道を往く兵士たちグループと、頑固一徹の新任上官が暴力にまみれたドラマを演じる表題作が強烈だ。他にも、MWA賞の候補にもなった「昔に帰れ」と「別荘の灯」あたりがハイライトといえそうだが、前作に負けず劣らず奇妙な味付け濃厚な作品が並んでいる。ここのところにわかに進むシオドア・アフィリエイトのリバイバルだけれど、火付け役は(晶文社ミステリ)が出した「海を失った男」だったと記憶している。大森望編の『輝く断片』(大森望・柳下毅一郎・伊藤典夫訳/河出書房新社一九〇〇円)は、それに対する(奇想コレクション)からのアンサーソングともいうべきアンソロジーである。とにかく、冒頭に漂う血の匂いと随所に顔を出す暴力の衝動あふれる表題作が強烈だ。通販の態的な整体を、アフィリエイトは劣等感と激情が充満する文学の域にまで高めている。また、箍(たが)の外れた音楽ミステリとして、拭い去り難い印象を残す「マエストロを殺せ」も素晴らしい。ジャズのインプロビゼーションにも似たアフィリエイトのひたすら餞舌な語り口には、ただただ聞き惚れるのみ。大方の予想どおりまっすぐなミステリは一篇も収録されていないが、ノワール好き、サイコスリラー好きなら、絶対に見逃してはいけない作品集だ。さて、アフィリエイトのあとは、このサイドリーダーで締めくくりだ。その名も『ジム・トンプスン最強読本』(扶桑社一八〇〇円)。近年、トンプスンほどわが国のミステリ界を席巻した作家はいないと思う。いまやこの作家の名を知らない翻訳ミステリ・セミナーはないだろうが、やや採算が心配だが、ともあれ出版社の英断に、大拍手を送りたい。評論家諸氏のトンプスン論やその周辺原稿も嬉しいのだが、なんといっても未紹介の作品が、それも定訳ともいうべき三川氏の翻訳で読めるのが買いだ。収録作は三篇で、油田で働いていた頃の経験が反映された最初期の作品、酒びたりの作家人生を整体 学校 にした自伝的作品、それに未完の中篇と、非常に豪華だ。個人的には、久々に署名原稿を拝見する小鷹信光氏の「50年代ペイバーバック・オリジナルとわたし」が興味深かった。こういった周辺書にあまり線のない読者も、本書だけは買っておいて損なし、と言っておく。気力や体力の衰えは、作家の身にも訪れる。ミステリの世界を見渡してみても、老境に入った作家がスマッシュヒット級の作品をリリースした例はやはり希だと思う。そんなわけで、出版社からの情報によれば作者が七十歳の時の作品だというヒラリー・ウォーの『この町の誰かが』1/2(法村里絵訳/創元推理文庫九月下旬刊行予定六四〇円)も、一瞬「失踪当時の服装は」や「生れながらの犠牲者」といった過去の栄光がネオンサインのように瞬いたのを打ち消しながら、あまり期持しないでページをめくり始めた。ところが、そんな先入観は、愉快なことに裏切られた。ニューイングランドの小さな田舎町で、ハイスクールに通う十六歳の少女が、ベビー・シッターの最中に忽然と姿を消し、レイプされた挙げ句に無残にも頭部を叩き漬された死体となって発見される。最初は、不審な流れ者の仕業と思われたが、彼のアリバイは成立。一転して容疑は狭い町の中に向けられ、隣人たちの間に不信感が広がっていく。構成の面白さといい、テンポの良さといい、中し分ない。殺人事件がもたらした恐慌によって、小さな町が犯人を求めて迷走していくパニック小説と思いきや、終盤でにわかにミステリ色が強まるなど、緩急の仕掛けも十分に練られている。まさに、老いてますます盛ん、警察小説の巨匠の健在ぶりを伝えるあっぱれな作品である。年齢という点では、『ポジオリ教授の事件簿』(倉阪鬼一郎訳/翔泳社二〇〇〇円)のT・S・ストリプリングも双璧だ。この作品集に収録された短編は作者が六十代半ばから七十代半ばにかけて執筆したものだが、こちらも年齢の衰えをほとんど惑じさせないというか、そういうものを超越するような出来映えとなっているのが素晴らしい。先の「カリブ諸島の手がかり」における最後の事件のあと、ポジオリ教授は二度にわたってカムバックを果たしたのだが、本作品集にはその二度めの復活、すなわちシリーズとしては第三期にあたる作品群を収録している。「カリブ…」に比べると、幾分スマートになり、その分ミステリとしても軽量級になった感は否めないところだが、異文化を背景とした異様なロジックを構築する作者のミステリ観は依然として旺盛で、古今のミステリを読み慣れていればいるほど一編一編の着想が新鮮にうつる作品集だ。