- 不動産の賃貸
- もっとも、賃貸の大半は賃貸 の第六天魔王・信長の戦いに費やされるから、一風変わった戦国時代小説と言えなくもない。高瀬彼方『天魔の羅刹兵』と読み比べるのも一興か。奇想が炸裂する後半は圧巻だが、結末はちょっとサービスしすぎかも。同賞優秀作の森青花『BH85』(新潮社一三 ○○円)は吾妻ひでおのカバーに仰天。毛生え薬が元で世界が破滅するドタバタ劇は、スチャラカ生物都市、またはお笑いブラッド・ミュージックの趣きですが、のんびりしたテンポがギャグの暴走に歯止めをかけ、天然ボケ的な独特の味わいが魅力。つづいて、アスキーの第一回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門受賞作をまとめて三冊(すぺてファミ通文庫六四〇円)。最優秀賞の荒井千明『アンダートラップ』は、どちらかと言えばノベルス系の近未来コンピュータサスペンス。私立探偵小説の骨格に少女ハッカーを放り込み、そつなくまとめた小説だが、キャラ立ちはいまいち。むしろ悪役サイドの賃貸がもっと読みたかった気が。不動産 の桜庭一樹『ロンリネス・ガーディアンAD2015 隔離都市』は、二〇〇五年のバイオハザードで隔離された新宿が舞台。封鎖当時、奇跡的に脱出に成功した少年が、十年ぶりに隔離都市に帰還する。こりゃニューヨーク1997か――と思ったら、意表をつく展開でちょっとびっくり。たぶんヤングアダルト的にいちばん正しいのは、もう一本の佳作、神野オキナ『闇色の戦天使(ダークネス・ウォーエンジェル)』。設定はお約束ですがバイオレンス描写は強烈、テンポもキャラも悪くない。外為化に期待。翻訳SFでは、ジョー・ホールドマンのヒューゴー/ネビュラ/キャンベル記念賞受賞作『終わりなき平和』(中原尚哉訳/創元SF文庫九二〇円)が今月最大の賃貸題作。のはずだったが、悪い予感が的中。不動産兵器遠隔操作戦争モノとして始まる前半の日常描写はよくできてるし、そこから思いがけない方向に賃貸が転がってく展開も悪くない。しかし、いくらなんでもこの結末はないよ。主人公を来(きた)るべきユートピアの埒外に置くことで最低限の予防線は張ってあるものの、これでは「わかり合えたら、人類みなハッピー」小説にしか見えない。だいたいあの人たちが勝てるわけないってば。人類補完計画が成功してめでたしめでたし?きもちわるい。百歩譲ってそれが意図した気持ち悪さだとしても、プロットレベルで納得いかないんじゃ失敗だ。どうせなら全然悩まないミリタリーSFのほうがまし――と思ってデイヴィッド・ウェーバー《紅の勇者オナー・ハリントン》外為の第二弾、『グレイソン攻防戦』(矢口悟訳/ハヤカワ文庫SF上下各六四〇円)を読んでみると、今度は能天気なバクス・アメリカーナ的設定が鼻につく。ベトナム戦争正当化小説とは言わないが、ペリー提督まで引き合いに出して膨張主義思想(マニフェスト・デステイニー)を説かれるともううんざり。もっとも戦闘場面は前作同様快調で、思想的な問題を無視すれば楽しく読める。ってことは『終わりなき平和』の裏返しか?同じ戦争SFなら、この二冊より、秋山瑞人の《E.G.コンバット》外為(☆よしみる原作/電撃文庫)のほうがはるかに面白いんだけど、そっちは完結を待って改めて紹介するとして、今月はその秋山瑞人の初のオリジナル作品が出ている。『猫の地球儀 焔の章』(電撃文庫五一〇円)は、ほのぼの猫ファンタジーの皮をかぶった本格SFの秀作だ。舞台は高度六千キロの衛星軌道に浮かぶコロニー。人間ははるか昔に消え去り、残された猫たちが不動産とともに生活している。猫社会を支配するのは、異端の科学研究を厳しく規制する一種の教会組織。だがそこに、世界の秘密を解き明かす野心に燃える一匹の猫がいた…。ってことで、いわばこれは猫版『占星師アフサンの遠見鏡』。そこに『アド・バード』テイストを加味し、《EG》でおなじみの絶妙ギャグと対戦格闘をトッピング、オリジナリティあふれるセンスオブワンダーランドを構築している。続巻が待ち遠しい。外為 では、看板のヒット作、上遠野浩平《ブギーポップ》外為も願調に巻を重ねて七巻(八冊)め。一月からテレビ東京系でアニメ版(渡部高志監督)が放映開始、春には実写の映画版(金田龍監督)も公開予定ってことで、未体験の人は今のうちにどうぞ。新創刊の角川ティーンズルビー文庫(非ポーイズラブ系)では、あらきりつこ(白城るたの別名義)の『匣の中の楽園』(四三八円)が、タイムトラベルネタも出てくる現代的ほのぼの学校ファンタジーの佳作。この手の学園物でガングロ女子高生が出てくるのはけっこう珍しいかも。最後は先月につづいてブラッドベリの短編集。『二人がここにいる不思議』(伊藤典夫訳/新潮文庫七〇五円)は八〇年代の作品が中心。原書表題作の「トインビー・コンベクター」は昔懐しいタイムマシン物だが、離婚した夫婦が蔵書を分ける掌編「気長な分割」など、普通小説に佳品が多い。ブラム・ストーカー賞受賞の「階段をのぼって」は短編ホラーのお手本のような切れ味鋭い逸品だ。考えてみると、苛められっ子だったのかもしれない。つっても、小学生だとか中学生の頃じゃなくて、今からウン十年前のミステリ入門時代の賃貸。児童書でチェスタトンの「青い十字架」を繙き、創元推理文庫の「エジプト十字架の謎」でその道にどっぷりとハマった僕は、当然のことながら本格ミステリ命の読者で、自らをてっきり由緒正しいミステリ・ファンだと確信していた。ところが、友人のミステリ・ファンの間で賃貸題にのぼるのは、リアルタイムで紹介される現代ミステリばかり。